妻の出産(初産)に立ち会いました。
まだ記憶が色濃いうちに記録を残しておこうと思います。
尚、超個人的な主観の内容になっておりますので 間違った記述や気分を害される方がいらっしゃいましたら大変申し訳ありません。
出産予定日前日夜に陣痛が始まる
出産予定日の3日前から、「なんかお腹が張ってる気がする、痛みもあるしこれが陣痛かな?」というような会話を妻としていたが
出産予定日前日の陣痛はいままでと明らかに違った。
『立ってられない、歩くなんてもってのほか』というほどの痛みに7分間隔で妻が襲われている。痛い時間は1分程度
かれこれ2時間ほど定期的な痛みが来ているがまだ破水はしていないし、急ぐ必要はないのかもしれないけど素人判断できることでもないので一旦病院に電話してみる。(利用している病院には『妊婦本人が電話をしなければいけない』というルールがあり、夫は横で見ていることしかできない。もどかしい)
痛みの具合と、最初の痛みを感じてからどれくらいの時間が経ったか聞かれ「まだすぐには生まれないので、様子を見て痛みが強くなってきたら再度連絡してください」と言われてしまう。
様子を見るってどれくらい?1時間?2時間?痛みが強くなるってどれくらい?泣き叫ぶくらい?痛みで気絶するくらい?などと思いながら、そんなことを言ったところでどうにもならないので指示されたとおりに様子を見る。
この時点で、妻に痛さレベルを聞いたところ すでにMAX(歩くなんて無理)で、さすってあげることと時間計測の協力ぐらいしかできることが無い。
2時間弱ほどすると、時間間隔は変わらないが痛さレベルがさらに上昇したとのことで再度病院に連絡。(なんで夫が電話しちゃいけないんだ)
「じゃあ病院に来てください」とのことで陣痛タクシーを呼ぶ。たまたま空いてるタクシーが近くにいたようで、10分くらいで来てくれた。この時の時刻は20時。
あとでわかることだが、この時の陣痛の痛みは このあとにくる痛みの1/10にも満たない可愛いものだった。
病院と家の往復
21時ごろ病院につくと、妻だけ病室に通され夫は待合室で待機。
『すぐ生まれそうなら夫立ち合いで分娩室に入る』か、『まだ時間かかりそうだから夫は一旦帰る』のかを先生に診てもらう。
後者の『まだ時間かかりそうだから夫は一旦帰る』場合、妻は一人であの痛そうな苦しみに耐え続けるの?と思いながら待機。(長く感じた)
10分ほど待っていると、妻から「助産師さんに診てもらったら、明日になりそうだから旦那さんには帰ってもらってって言われた」との連絡。
仕方なく帰路につき、家についてから『寝るべきなのかな』なんて考えてると 妻から『順調にいけば早朝4時くらいに生まれるかも』との連絡。
家と病院は1駅離れているので始発で間に合わないなら終電終わる前に病院行ったほうがいいなと判断し、再度病院へ向かう。
一旦帰宅から再度病院に着くまでの3時間ほど、妻はだんだん強くなる陣痛の痛みに一人で耐えていた。
再度病院に向かう電車は終電になり、病院に着いたのは翌0時半ごろ。
なかなか開かない子宮口
病院に着くと部屋に通され、着替えた妻がベッドに寝ていた。特に苦しそうな感じはなく、助産師さんに説明を受けていた。
壁にあるホワイトボードに『陣発 20 / 21:45 4/ 22:40 6』と書かれていた。
助産師さんとの話が終わった妻が、状況をわたしに説明しようとしたとき陣痛が来て妻が苦しみだした。
3時間ぶりにみる痛がり方はさっきまでの比じゃなく、聞かずとも痛さレベルが上がっているのが分かった。
痛い時間は変わらず1分程度で、治まればケロッとしていた。
痛みが無い間に妻が説明してくれた状況は
『21:45に4センチだった子宮口が 22:40に6センチになったので、このペースで行けば5時前後に生まれるかも。』ということで、あと5時間(長くても6時間とか)耐えれば終わるのであれば頑張れると気合を入れた。(先述したホワイトボードのメモは時間と子宮口の開きを記したものだった。「陣発」は多分 陣痛発生)
AM1時を超えたころ、だんだんと陣痛が来る間隔が短くなり4分毎に1分間の痛みが来るようになっていた。
このとき、わたしは『陣痛が4分間隔で来ている』(痛くない時間が4分ある)と思っていたのだが、正しくは(病院は)は5分毎(陣痛の開始と次の陣痛の開始の間隔が5分)と集計していた。
最終的には3分毎の陣痛になるので、2分痛くない・1分痛いを繰り返すという落ち着かないローテーションを繰り返すことになる。
そこから、2時・4時・6時と2時間ごとに検診(子宮口の開きを確認)してもらうことになるのだが、ずっと7センチのまま 生まれるかもと言っていた5時を過ぎることとなる。
このころ、急に妻が吐き気を催してしまい3回ほど嘔吐してしまう。(よくあることのようで何も心配は不要だとのことだったが、喉に胃液がつくヒリヒリする感じが辛そうだった)
「陣痛は筋肉の収縮なので、運動すると促進されるから歩いたりスクワットしたりしましょう」と言われるのでできる範囲で頑張っていたのだが
利用した病院は陣痛を計測する機械を別室でモニタリングしているようで、何かあった場合か検診のとき以外はスタッフは部屋にいない状態なのもあり
6時を過ぎたころにはわたしも妻も疲労と眠気がたまり
2分間寝落ちしそうになる → 1分間痛みでそれどころじゃない → 2分間寝落ちしそうになる、というサイクルになっていた。
疲労もあり陣痛の痛さが弱くなる場面が出てくる。弱くなるといっても耐えられないレベルであることには変わりないし、弱くなるということは出産の進みが遅くなるということになる。
『頑張ろう』『乗り越えよう』『終わりは来る』『着実に進んでる』とかいろんな言葉で励まそうとしてきたが、6時間を超えてくると同じようなことしか言えない自分が嫌になるのと『本当に終わるのか?』『終わるとしてそれは今日なのか?』と考えるようになっていた。
不安を広げない様に言葉にはしなかったけど、きっと妻も思っていたことだろう。
陣痛促進剤投与 → 破水
7時半を迎えたころ、助産師さんではなく医師が来て陣痛促進剤の提案をされる。
妻もわたしも、『いつ終わるかわからないこの状況を打破するならぜひお願いします』という感じで投与を開始する。
直後破水(多分、陣痛促進剤を投与しなくても破水のタイミングは一緒だった)。
このとき、陣痛開始(20時)から考えて10時間経過で『これ以上時間かかって妻は大丈夫なのか?』と思っていたが、後で調べると初産の平均は14時間とのことで 実に考えが甘かった。
助産師さんに「破水したし順調です。薬も使うので子宮口の開きも進みますよ。」と言われ、勝手に『順調ならあと1-2時間かな』とか思ってしまった。
あと6時間かかることも、ここからの痛みはまた段違いに痛さレベルが上がることも知らずに
痛さレベルのMAXと不安材料
陣痛促進剤を投与してから5分ぐらいすると、妻の疲れや眠気とは関係なく陣痛の強さが強くなる。
ここまで、歯を食いしばって唸ることはあっても あまり声を上げなかった妻が『痛い』『助けて』という言葉を発するようになる。
この時の痛みに比べたら、病院に来る前の『陣痛かも?』と言ってた痛みは無いに等しいものだったのだと思う。
陣痛促進剤の投与を開始してから、経過によって最初の投与量の2倍・3倍と医者の判断で量を調整するのだが
「もう少し陣痛の強さが必要なのでもう一段階あげますね」「体が慣れてきたのか間隔が伸びてきたのでもう一段階上げますね」「もうすぐ生まれそうなのでこのまま順調に行けるようにもう一段階上げますね」「最後にもうひと踏ん張り欲しいのでもう一段階上げますね」「時間が伸びると母体の負荷が高いのでもう一段階上げて頑張りましょう」と、そんなにあげて大丈夫なの?最初からそういう予定だったの?と不安になる量が投与される(医師の判断なので大丈夫なものではあると思うけど)
投与されるほど陣痛の痛みは強くなり、時間間隔は短くなるので 妻の苦しみは強くなり見てる自分も辛くなってくる。
夫として何もしてあげられないことを悲しみながら背中をさすり、言ってて悲しくなる励ましの言葉をかける。
『痛みを半分請け負うことができれば』とか『今からでも無痛分娩や帝王切開にできるのかな』とかあほなことを口走りそうになりながら、不安を与えるのはよくないとこらえてた。(出産後に読んだ本に、『旦那の方が先に限界を迎えて、退室したり麻酔をお願いする人がいる』と書いてあった。気持ちはわかる。先に読んでおけばよかった)
夫に痛みはない。あるのは眠気と疲労、さすってる腕の疲れぐらい。妻は10時間以上痛みに耐えている。(妊娠初期からの苦労を考えたら比較対象にすらならない)
そんなことを考えながらの3時間は本当に長く感じた。後半の(陣痛開始から11時間半~出産1時間半前)が立ち合いの中で夫視点からみて一番つらい時間だった。
いきみ段階(出産準備完了)
10時を迎えると(陣痛開始から14時間経過)、急にスタッフが増えてあわただしくなる。
最終段階に入ったということでもあるのだが、そろそろ時間的に母体への負担が限界に近いと判断しているようだった。(「子宮口全開から2時間半経過」という言葉が飛び交っていた)
今までは、『陣痛に耐えて頑張りましょう、しっかり呼吸を整えて鼻から吸って口でゆっくり吐く。』という指示だったのが
『いきむタイミングを指示するので合わせて腹筋するみたいにいきんで力入れてください。一回目のいきみより二回目のいきみの方を長く力入れてー。』というような指示に変わる。
当然ながら妻も初めての経験なので、タイミングや力の入れ方が分からずうまく行っていない様子だった。
そこで医師から「旦那さん頭側に回って、背中の下に手を入れていきむタイミングで状態をまっすぐにして上に押してください」と言われる。
痛みに耐えながらいきむと身体が左右に振れてしまうので 状態をまっすぐに固定してほしいということだった。
大した仕事でもないし、助産師さんがやったほうがうまいんだろうけど
虚無感にかられていたわたしとしては『できることがある』というのはすごく嬉しかった。
そこから出産まで2時間半ほどかかるのだが、先ほどまでのつらい3時間に比べればはるかに早く感じた。
生まれる15分くらい前だったか、陣痛が来ていない力を抜いてるときに妻が言った「早く会いたいな、もうすぐ会えるかな。」という言葉が印象的だった。
15時間を超えるつらそうな妻の姿を見て、『早く終わるといいな』『いつまでこんなつらい思いしてるんだろう』とネガティブな思考で頭がいっぱいになっている自分に対して
痛くてつらいはずなのに、疲れてるのに、妻の頭の中には『楽しみ』という感情が間違いなくあった。
出産
12時
無事に出産。
最後に赤ちゃんを取り上げるときは何が起きているのかよくわからなかった。
わたしは妻の頭側にいたので、細かく何が行われているのかは見えなかったが
赤ちゃんを取り上げている人の動きは、『か弱い生まれたての赤ちゃんを取り出す動き』というより『腰を落として綱引きを思いっきり引っ張る動き』の様に見えた(もちろんそんな無理やり引っ張り出してはないと思うが)。
赤ちゃんが出てくるとき、妻から聞いたことない声(テキストで書くと「あーあぁーあーあーあぁあー!」みたいな感じ)が出て
痛さMAXのときの声よりボリュームが大きかった。
痛かったわけじゃなく、体から引っこ抜かれる感じが初体験過ぎて出てしまった声らしい。
そのまま怒涛の勢いで、へその緒を切ったり・赤ちゃんをきれいにしたり・検査をしたり・体重測ったりが行われていて
妻とまともに会話できない間に、「写真とりますか」とか「取り違いがないようにラベル確認おねがいします」とか確認対応があって気が付いたら30分ほど経っていた。(正直あんまり覚えておらず、取ってもらった写真に写りこんでた時計が12時半だった。)
そのあとは病院が用意してくれた食事を頂いて、妻と子の5日間の入院スケジュールの説明を受けたりした。
夫は家に帰ることになるので解散。寝不足と疲れでちゃんと家に着けるか不安だったが無事帰宅。
充電が切れそうなスマホを枕元に置いてある充電コードに刺しに行ったら、コートも脱がずにそのまま夜まで寝てしまい 気が付いたら外は真っ暗20時だった(家に着いたのは16時ぐらいだったかな)。
余談
解散する前に、妻に「こんなに大変なら、もう出産なんて二度とごめんだよね?」と聞いたら
「わかんない、今は考えられないからちょっと休みたい。」と言っていた。
『絶対無理』とかじゃないんだ、おんなつよって思った。
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